ZEPPELIN from Russia
どうも、隷好堂です。
突然ですがロシア盤、皆さんはお持ちだろうか?
ロシア盤、あなたの心に隠された秘密の宝物。
ロシア盤、なんと魅力的な響き。
そんなふうに思われた皆さんは同志!
さて、昭和生まれの、サブカルチャー愛好者で、グランジ音楽に育った私と同世代の人には、ロシアって聞くと、どうしてもあやしいイメージがついてまわるんじゃなかろうか。
ロシアがソ連の時代、冷戦の真っ最中のころ、ロック音楽は退廃の象徴とされ、国として禁止されていた。その反動か、クラシック音楽は国を代表するもので、たくさんの名演や優れた演奏家を輩出した。国営のメロディアレーベルって、クラシック専門のレコード会社まであったくらいだ。
(厳密にはメロディアレーベルはクラシックに限らずポップスや「レッドファンク」と呼ばれる国産ソウル・ファンクも発売していたが)
だから、そんな国で作られた(あるいはコピーされた?)ロックのレコードが日本で出回ってたら、誰しも「まあ、おそらくパチもんだろ(笑)」って思うのはごく自然なのではないだろうか。
そもそも、ロシア盤の、しかもロックのレコードに出くわすことなど、稀有である。
…そう書いておいてなんだが、ある日の都内の某有名中古レコード店で、私はそれに出くわしてしまった。しかも、レッド・ツェッペリンのファースト・アルバム、内容はご存知、極上の一枚である。
わたしはこのアルバムが大好きだ。好きすぎて初版の「ターコイズロゴ無修正マト盤」を手に入れるために、まさに清水の舞台を飛び降りた。そのくらい大好きなアルバムなのだ。
気がついたら、手にとってお会計してしまっていた(笑)
ということで、今日はロシア盤レッド・ツェッペリン1stアルバムについて検証?していきたい。
結論から言うと、大変香ばしい一品であった。
ジャケット(オモテ)
まずはこの写真をまじまじと御覧いただきたい。
左上のロゴがロシア語?なのはまぁそうなんだけど…なんか違和感が・・・
なんとなく全体的に雑じゃね?
どうにも拭えない違和感・・・
そもそもロシア盤、ということで「ほんとにこれはツェッペリンのアルバムなのか?」という疑念はどうしても出てしまう。でも買ってしまったんだ、致し方なし。
とはいえ拭えぬ不信感から、オリジナルジャケット(UK)と横並べにしてみた。
左がUKオリジナル、右がロシア盤。
いかがだろうか?
間違い探し、的に違和感を上げていくとこんな感じであろうか?
むーん、これはほんとにツェッペリンのレコードなんだろうか…似て非なる別のバンドのレコードなんじゃないか?と、そんな疑惑すら持ち上がりかねない「絶妙に微妙」なレプリカ具合。
あやしい・・・
香ばしい匂いがプンプンするのは私だけだろうか。
ジャケット(ウラ面)
こちらもまずはロシア盤の写真をまじまじと見ていただきたい。
UK盤との違いが思い浮かぶだろうか?どうかまずは皆さんの「記憶」との比較をお願いしたい。
ジャケットの色味や文字の違い、ロゴの配置違いはまぁ、各国盤ではよくあるので違和感ないけどな…
メンバーの顔もあってるし、ね。
…それでは続いて、UKオリジナル盤のジャケを見ていただきたい。
!!!、いやいや一瞬見ただけだとよくわからんが、、、かなーり違う??
ということで両方を並べて比較してみたい。
じゃーん!
!!!!!!!
おわかりになられただろうか?
いやしかし、オリジナルを模造したのだとしたらなぜここまで配置が変わってしまうのだろう?
顔はそこそこ似ているのに。
一人ひとりの似顔絵だけ見れば、間違いなくツェッペリンなのだ。
それなのに表情も角度も、立ち位置も違うのはなぜなんだ!?
そしてなぜジョン・ポール・ジョーンズに頬杖をつかせたのか…
もはやある種の「オリジナルの領域」に入っているのではないだろうか。
「サージェント・ペパーズに対するアメリカからの回答」ならぬ「ツェッペリンに対するロシアからの回答」、あるいは「From Russia with Love(ロシアから愛をこめて:007シリーズ)」といったところであろうか。
もはや香ばしさを超えて香気馥郁たり、とでもいいたいくらいだ。
レーベル面
つづいてレーベル面をチェック。
うむ、読めないのでグーグル翻訳で再掲。
レーベルのデザインはオリジナルとは全く違うが、これは発行国が違うのでまぁ、あるある。
翻訳を見る限り、曲順もオリジナルと同様っぽいな、と。
レーベルデザインは違うものの、曲順は同じということで一安心。
どうやら中身はツェッペリンで間違いようだ。
ただ、最後の一行、「Broadcast Recording」というのが大変気になる…
直訳すると「放送録音」。
ん、ライブ録音なのか?それともオリジナルアルバムのエアチェック音源ってことか?
謎は深まるばかり、香ばしさは増すばかり。
サウンドチェック
さて、ここまでで既に「これほんとにツェッペリンのアルバムなんだよな?」という不信感は募るばかり。香ばしさが増すばかりの魅惑のロシア盤。
善は急げ、とばかりにターンテーブルに本盤を載せて針を落としてみることにする。
結果は…
おおー、ツェッペリンだったわー(ホッ)
ちゃんと1曲目の「Good Times,Bad Times」のリフが流れた!フーッ、本物だったわー!
と、ちょっと安堵。
で、肝心の音なのだが…これがびっくり!むっちゃクリア!!
これまで見てきた通り、粗い作りのオリジナリティ溢れるジャケ、レーベルの「Broadcast Recording」の記載を見れば、中身は言わずもがな…篭った丸い音かと思っていたのだが…
ものすごくいい、いや、これオリジナル盤のリマスターといっても通用するぞ、というくらいシャープな響きがする。
せっかくなんで、酷な比較かもしれないがあえてターコイズ盤真正ファーストプレスとも聴き比べてみた。
結論から言うと「まったく悪くない」、この一言に尽きる。
ターコイズの音は中音域に腰を据えて、高音のパシャパシャ感も低音のドンドン感も平均的に出ており、なんとなくだがギターを軸にバランスが取られた感がある。どちらかというと「ギターヒーロー=ジミー・ペイジの新バンドのアルバム」といった佇まいの音作りである。
対して、ロシア盤は真ん中より低音寄りのところに腰が座っていて、どちらかと言うとバスドラやベースがよりパワフルになっている。ターコイズだと若干キンキン気味なギターも少しマイルドに、ボーカルも落ち着いたシャウトになっていて、正直「これ、ありだな…」ってデキ。USマトA/Aに近い感すら受ける。
サウンドチェック その2:友人編
いやいや一人だけの検証では…ということで、友人にも同じものを聴き比べてもらった。なお彼にはツェッペリンに対する先入観はない。殆ど聞いたことがないのだ。特にツェッペリン好きでもないということなので、曲の善し悪しなどの音楽的側面は一切無しで、純粋にオーディオ的な側面で聞いてもらうことにした。
結論、彼曰く「いや、フツーにいいね、ロシアも」とのこと。
ツェッペリンになんの思い入れもない、ロックをほとんど聞かない人がフラットに聞いてそうなのであれば、やはりこれは明確な違いと良さがあるのだと確信した。
正直、ここまでいいとは思ってませんでした。
ロシア盤、っていわなければわからないくらい。音のいい、デジタルリマスターされたリイシュー盤、というくらいのレベル感です。
さて、気になるお値段は…
さて、ここまで良い良い、とベタ褒めした上でいよいよ気になるところ、お値段だが…
なんと2,250円‼︎(中古)
この値段なら正直、日本盤の同アルバムの中古よりこっちのほうが全然いいよ!と心から思う。そのくらいロシア盤素晴らしいです!
まとめ、と、おまけ
いかがだったであろうか。
著作権の関係上、このブログ内で音をお聞かせできないのはまさに痛恨、大変申し訳無いとおもうがご容赦いただきたい。
今回取り上げたロシア盤が果たしてどれほど日本で流通しているのかは正直分からない。なので読者の皆様がこの盤に出会えるのか、出会えないのか、その確率予想すらできない。恐縮である。
ただ、もし出会うことはあれば、もちろん値段によるが速攻でご購入いただいて構わないと思う。音にがっかりすることは多分無いし、ジャケット他ディテールの香ばしさで満足はお値段以上と思う。
そして最後に、このロシア盤の秘密を非公式ながら聞く機会があったのでおまけとして載せておく。
おまけ・教会の密造工場
実はこの盤を手に入れた数カ月後、とあるロシア盤コレクターにして東欧盤の権威(と私は思っている)方と立ち話をする機会に恵まれた。
氏はその頃ちょうど東欧訪問から帰ったばかりで、あちら関係の事情も様々調査してきた、とのことだった。時期やよし、このツェッペリン盤のジャケットや音に関しての質問をぶつけてみた。
すると、以下の回答を得られた。
教会…ロックとはおそらく最も縁遠いであろう場所でロックが量産されていた、という事実に驚きでした。
なんとも想像の範疇を超えた事実をご教示いただいた。皆様にも共有しておきたい。
ご一読ありがとうございました。
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