カセットテープが大人気!その次は…
古い音楽メディア・ソフトが人気だ。
最近は有名アーティストの新作もアナログレコードだけにとどまらず、カセットテープでも発売されることが増えた。
と同時に、カセットテープの中古販売も増えてきた。
まだお目にかかる機会はそこまで多くはないが、中古店によってはかなりの量を販売しているところもある。
カセット、要はマスターテープをダビングしているわけなので、そりゃ音がいいのかもね。
子供の頃からカセットテープが身近にあった世代としてはなんとなく懐かしい気持ちに、「え、そんなに良かったっけ?カセット」という驚きが入り混じっている。
私も3年ほど前にハードオフで売っていたDENONの中古カセットデッキ(8000円)を購入し、たまーに聞いている。
音はレコードやCDに比べると正直そこまで良いとは思えないが、面白そうなソフトを見つけるとついつい買ってしまう。
ではカセットの次に何が来るか?
ヒントはディスクユニオンの買取リストにある。
答えはおそらく「短冊CD」(8cmCD)だ。
短冊CD=8cmCDシングルの魅力とは?
短冊CDとは?
8cmCDは90年代に日本国内で大流行した、CDシングル盤のことである。
ちなみにこの8cmCD、知らない読者の方もいるかと思うので簡単に説明を引用しておく。
8センチCD (8cm CD) は、コンパクトディスク (CD) のサイズの規格のひとつ。通常のCDの直径が12センチメートルに対し、直径が8センチメートルで小型である。
1988年にイギリス・日本・アメリカ・フランス・ドイツ・香港などで発売された。
Wikipediaより抜粋
実物はこれ。
この形が七夕のときに飾る短冊のように見えるので、通称「短冊CD」
中の網状のプラスチックを折り切ってしまい、更にコンパクトにもできるスグレモノw
短冊CDの日
調べてみると、どうやら短冊CDの日というものもあるらしい。
ちなみに短冊CDは誕生から35年(1988年誕生)、短冊よろしく、短冊CDの日は七夕の7月7日に設定されていた。
今年の短冊CDの日は完全に見落としてしもうた・・・
それにしても「Record Store Day」、「レコードの日」、などいろいろ出てきたねぇ…
短冊CDの魅力
私が思う短冊CDの魅力について書いてみたいと思う。
形がかわいい
まずなにより、唯一無二のこの形状が不思議でかわいい。
Wikiによるとこの形状は日本に限らず外国でも発売されていたようだが、短冊CDの輸入盤というものを私は見たことがない。おそらくガラパゴス日本独特のパッケージだったのであろう。
なぜ現行のいわゆる12cmサイズのCD(いわゆるマキシシングル)で出さなかったのか?今となっては甚だ疑問であるがおそらくコストの問題かと思う。
90年代はネットが登場する前夜、ヒットはすべてシングルCDから誕生した。レコードのシングル(ドーナツ盤)よりも取り回しがしやすく、かつ数を多くさばいて利益を出すには極力コストをかけずに頒布する必要があったのではないかと思う。
CDそのものの面積も通常サイズより小さいし、使っているジャケットも紙、プラスティック割合も極力少ない。コスト削減と取り回しのしやすさのミックスアップによって、この短冊形という形状を生み出したのだと思う。
多感な10代、ヒット曲を聴くのはいつもこの短冊CDだった私からするとなんとも愛くるしい存在である。
当時はPCもインターネットも普及していない、YOUTUBEなんてあるはずもない時代だった。
レンタルCD屋でシングルCDをレンタル→自宅のCDラジカセやコンポでカセットにダビングする、っていうのが一般的な小中学生の音楽の聴き方だった。
短冊型ならではのジャケット・デザインが楽しい
短冊型=縦長、という形状ならではのデザインが楽しい。
特にこの縦長(横にすれば横長)のフォーマットを活かしたデザインは他の時代では見ることがなく、独特の世界観がある。
わかりやすいものだとこんな感じ。
脚の長さを強調したり、馬の縦長の馬面をしっかり捉えたり、となかなかソリッドなデザインになっている。
もちろん正方形のアルバムジャケットでもできなくはないが、縦長ならでは、特異な形状を活かしたデザインで溢れている。
横長だとこのあたりだろうか。オールドスタイルのチョコレートパッケージが実にうまく表現されている。
短冊CDデザインについては先程の「短冊CDの日」HPにも寄稿されている「ディスク百合おん」氏がtogetterにて8cmCDマニア・ディスク百合おんが選ぶ「ジャケットがトリッキーな8cmCDベスト3」をUPしてるので見てみて。
この他にも面白いのはたくさんあるからぜひググってみてください。
珍盤・奇盤が多い
これはレコード時代とおなじだが、短冊CDにも珍盤奇盤の類は多い。
例えばこんなの。
もちろん音源はYOUTUBEやサブスクで聴けるものも多い。この程度の珍盤など…というマニアの方もいらっしゃるだろう。
いやいや、大事なのはこのパッケージングなのだ。時代を感じる・ちょっとレトロな・そして怪しげな、なにかこう、ワクワクしてくる。中身もさることながら、短冊型の怪しい?作品というのはマニア心をそそらないだろうか?
なお、短冊CDに関してはドーナツ盤時代のそれに比べて、いまだ評価(価格の相場)が定まっていないものも多いと感じている。
後ほど紹介する買取リストも短冊型CDに関しては発行のたびにタイトルが入れ替わっており、かつ、値段も徐々に高騰してきている。つまりは「いまだ評価中」ということなのだと思う。
今後評価を高める作品もいまはまだ100円で投げ売りされている可能性があるので積極的に探す楽しみがある。
どの作品が価値を上げるのか?現段階では俺もよくわからん。
とりあえず自分が面白そう、とか聞いてみたい、とか懐かしい!というものが安く手に入るなら買っておけばいいんじゃないかな?
カップリング曲がカラオケであることが多い
これはごく一部、特に楽器を演奏する人やアレンジを勉強するひとにはいいところなのだが、大概の短冊CDにはおまけ的に「カラオケ」が入っている。
短冊CDにはおおまか歌入りの曲が2曲収録されている事が多い。レコードで言うA面的曲が1曲め、B面は「カップリング(cw:カップリングウィズ、の略)」と言われるおまけ?的な曲が2曲め。
レコードのシングル(ドーナツ盤)時代はAB面で終了だったが、8cmCD自体にはおおよそ20分、曲にして4曲ほど収録できるようになった。
そこで余ったデータ枠には収録曲のボーカルだけを除いた「カラオケバージョン」、かっこよく「インストゥルメンタルヴァージョン」、という、いわゆるカラオケが入っている事が多い。
リスナーとしてはCDをかけっぱなしにしていると3曲目にカラオケ、というのはちょっと興ざめなのだが、マジで歌を練習したい人や楽器を演る人からするとボーカルのせいで聞こえなかったバック演奏の音をクリアに聞ける、ということで重宝する人も当時はいた。
なお、90年代はカラオケボックスというのが勃興〜大隆盛した時代でもある。私はなかったが、世の中的にはそういう「カラオケ需要」もあったのかもしれない。
隷好堂も中学時代からバンド活動をしてたので、このカラオケ機能は重宝しましたわ。
特にベースとかドラムの細かいオカズを聴くのにいいんだよね。
比較的安価で「宝探し」を楽しめる!
基本的に短冊CDは中古屋では安価で販売されている。
ディスクユニオンなどの大手レコード専門店だとそれなりに値段がするものもあるが、ブックオフ、ゲオ、ハードオフ、駿河屋、あるいは街中のリサイクルショップや中古買取と販売を同時にやっているセコハンだとほとんど捨て値で販売されている場合も多い。
「短冊形」という特異な形状に懐かしさと、「お、こんなのあったんだ!」的な驚き・発見、そして数百円程度で買えるお手軽さ。「宝探し」感が味わえるのも短冊CDの魅力だ。
近年のレコード・カセットテープ需要の拡大から、いわゆるレトロメディアへの感心は首都圏を中心に高まっている。楽しい宝探しするなら首都圏近郊や地方、幹線道路沿いの中古販売店や大型セカンドハンズショップなんかのほうが良いと思う。
以上が私が魅力だと思う点だ。
今度は逆にレコード(ドーナツ盤)と比較して、ここはちょっと足りないな…と思う点だ。
【デメリット】音はCDアルバムと変わらない
レコードのシングル盤は基本45回転なので、レコードの溝がアルバムサイズの12インチ(33回転盤)よりも大きく太く掘られている。
よって、全く同じミックスの曲のアルバム収録とシングル収録を聴き比べるとシングル盤のほうが音圧がある、とか音が良い、などのメリットがあった。
が、短冊CDにはそれがない。アルバムだろうがシングルだろうがどちらもデジタルデータのCDなので、溝とかはないのだ。つまり曲単体を楽しむという意味ではアルバムで聴こうがシングルで聴こうが音質は基本変わらないことになる。
よくある「シングルミックス」「アルバムミックス」などのミックス違いなら両方所有するメリットもあるが…オーディオ観点でのメリットは無い。
音の差はないから値段にそれほどさのない中古ならアルバムで買っちゃえば他の曲も聞けてお得だが…ジャケットの魅力もあるし懐かしさもあるから、やっぱ短冊のほうがいいかな、俺は。
【デメリット】プレイヤーによってはCDシングル専用のアダプタが必要
一昔前のCDプレイヤーであればCDを乗せるトレイに「アルバムサイズ(12cm)」「シングルサイズ(8cm)」それぞれぴったりハマる凹みがあったのだが、一部のメーカーや海外ブランドのプレイヤーを使っている場合はこの凹みがなく、シングル盤をそのまま再生することができない。
同様に、車載用のスロットイン型CDプレーヤーや縦置きスロットイン型CDプレーヤーも同様に8cmのシングルCDは再生できない。
この場合は別売りのCDシングルアダプタを購入し、これにシングル盤をはめ込んで再生しないと最悪トレイが中で詰まって故障の原因となってしまう。
シンプルにめんどくさいが、音楽専門店やアマゾン、時にはダイソーなどの100均でも売っているのでぜひ購入しておきたい。
無理やりアダプタなしで再生できる場合も稀にあるが、プレイヤー故障の原因となるのでやめておきましょうw
なおトレイ凹みがある場合、あるいはこの換気扇型プレイヤーのように、センターホールをかっちり固定するタイプであれば問題ない。
以上がデメリット?と思われるものである。
そもそも通常のCDシングルとは別物、サブスクで聴けるものもあえて短冊買う、という割り切りができるのであれば、全く問題にはならないと思う。
やはり文化的遺産をこの手にしたい、物理的欲求のほうがデメリットに勝ってしまう。
高騰する?短冊CD
さて、先日ディスクユニオンさんをフラフラしていたら、恒例の買取リストが出ていた。
毎回レコードが中心で、一部CDのリストもあるというのが近年の定番だが、ここ1〜2年で新たに「8cmCDシングル」(短冊CD)のページが付け加えられた。
買取価格が高いものだと2万円…おそるべし。
もともとこの時代のCDシングルの値段は800円〜1000円程度、おおよそ30年ほどの時代を経てその価値がようやく再評価されようとしているのかと思うと感慨深い。
例えば先程挙げたタイマーズ。
購入したときは中古で500円くらいだったからおよそ3倍の値段になっている。
私の中でのキラーアイテム、飯島愛はどうか。
残念、所有のタイトルではなく、この「まんがらりん」というのが高騰しているようだ。
まとめ:短冊CDを楽しもう
いかがだっただろうか?
日本独特の特異なCDシングル、短冊。その様相・デザインから収録された楽曲まで、現在という視点から見ると逆に新鮮に見聞きできるのではないだろうか?
もしかしたらあなたの所有している古い短冊CDも、今頃は価値が跳ね上がっているかもしれない。
売る・売らない、はさておき、そんなお宝が家あるかも?近所で売ってるかも?って考えるとなんか夢があるよねw
値段が上がろうが上がるまいが、俺は自分の青春時代と被るノスタルジックで買っちゃうわけだけどw
是非とも一度、自宅やレコ屋を漁って楽しんでみてもらいたいと思う。
ご一読ありがとうございました。
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