つい先日(2023年10月)、ローリング・ストーンズの18年ぶりの完全オリジナル新作「Hackney Diamonds」が発売された。
私は予約注文にて輸入盤を購入。こちらの盤にはEU盤、と書いてあるが、厳密にはチェコプレスとの記載があった。
チェコプレス、と聞いてすぐに思い浮かぶのは「スプラフォン」レーベルである。
スプラフォンレーベルは戦前からあるが、特に東欧では音質が素晴らしいメーカーとして特にクラシック愛好家からは定評がある。特に戦後の真空管カッティングのレコードは独自の温かみと厚みのある良音を奏でてくれることで有名だ。
今回のストーンズのアルバムもチェコプレス、ということで一聴するとやはり、分厚い音作りがなされていてサブスク配信音源とは雲泥の差であった。
さて、そんなこの週末、例のごとくレコ屋をウロウロとしていると、たまたま漁ったストーンズの餌箱に「Goat Head Soup」のチェコスロバキアプレスを見つけてしまった。
新作のチェコプレスも良かったし、当然作品のプレス時期ももしかしたらまだ真空管カッティング仕様かも?という淡い期待。しかもお値段もかなりリーズナブルだったので迷わず連れて帰ってしまった。
ジャケットのデザインは特に違和感は無い。
ただ、何故かペラジャケ仕様となっている。中身を抜くとペランペランと文字通りしなやかすぎて自立は厳しいんじゃないか?という不思議な材質で作られているジャケットである。
今回はたまたまよく見知った店員さんだったからか、値札も持ち帰って良いといわれたのでそのままもらってきた。1,500円。しかもバーゲンセール適用で10%オフ。
商品タグにあるGlobus Internationalというのはイマイチ意味が分からないが、1991に関しては製造年であるらしいことはDiscogで知った。
レーベル面はUK・USとは異なる独自仕様。
見た目はアメリカのJAZZレーベル「Atlantic」の最初期黒銀レーベルに近いものを感じる。
さて、先程掲出のタグ内の「黒盤」表記についてだが、あえて黒盤と書くということは他にカラーヴァイナルのものもあるのかな?と思い調べてみた。
結果、この盤は「スプラッターエディション」なる、いわゆるマーブル模様仕様のレコードが存在しているようだ。
124ユーロ、って今どき(2023年11月)時点ですと、結構お高いっすね…
さてさて、肝心の音の方であるが、やはり音が分厚い。
音圧がそこまで強い訳では無いが、太く温かみのある音がなっている。
UKやUSのオリジナル盤よりも中音域に比重をおいた音作りになっている。
このレコードが真空管カッティングかどうかはわからないのだが、音作り的には往年のチェコ・スプラフォン盤らしさがある。これで1500円ならば間違いなく買い!で良いレベルだと思う。
このアルバムはなぜか「アンジー」が有名すぎて、一般的にはその他の曲にあまりフォーカスされることはない不当な評価を受けている。
「アンジー」は確かに名バラードだと思う。
しかしながら、チェコ盤における本作の聞き所はやはり中音域に一番美味しいポジションを取れるギターかと思う。ぜひバラード以外の曲で本作におけるギターの音作りの良さをチェコ盤で体験してほしい。そんな一枚であった。
ご一読ありがとうございました
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