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Barney Wilen / Barney (JORDU)

Disk Review

いぶし銀のジャケットに惹かれて

ジャケットは見たことあるんだが、その中身は聞いたことない。そういうアルバムって結構あるのではないだろうか?

今日紹介するこのBarney Wilenの作品は私の中で「見たことあるけど聞いたことない」「ジャケかっこいいけど中身知らない」作品の最たるものだった。

ディスクユニオンのGWや年末に開催されるセールスでは必ずといっていいほど「高額人気商品」にリスティングされている一枚なのだが、ジャケには走り書きの「Barney」しか書いてないので詳細を知る由がない。するとサブスクでも調べようがない。でもジャケは気になる。音も気になる。はてさてどうしたもんか…と悩むこと数分、大概忘れる(笑)、でそのうちまたリスト見て思い出す、そんな作品が本作。

そもそも「Barney」は「バーニー」ではない。ここがまず落とし穴。とりあえずバーニー・ケッセルよろしく「バーニー」で検索するわけだけど、出てこないのはそのせいだ。正しくは「バルネ」、フランス語である。Barney Wilenとスペリングして「バルネ・ウィラン」が日本語表記なのだ。

なお、音楽のモニタリングには以前レビューしたこのヘッドフォンがおすすめです↓

Barney Wilen(バルネ・ウィラン)

WikiによるとBarney Wilen(バルネ・ウィラン:1937-1996)はフランス・ニース生まれのテナーサックス奏者。マイルス・デイヴィスのサントラ「死刑台のエレベーター」の共演でその名を知られたとのこと。

今回私はこの作品を平場のレコード箱の中からいつものようにしれっと見つけた。国内盤で2800円程度。まぁ、悪くない値段だ。

まずはジャケットを。

経年によるくすみ・スレはあるが上々だと思う。このスーツにメガネのにいちゃんが黒バックに佇んでいるだけ、という無作為感がなんとなく「こいつ、なんかいい音鳴らしてそう」感を漂わせている(ように私は感じた)。

裏ジャケはこんな感じ。メンバーが錚々たることに気づく。

Barney Wilen (Tenor Sax)
Kenny Dorham (Trumpet)
Duke Jordan (Piano)
Paul Rovere (Bass)
Daniel Humair (Drum)

ベースとドラムは初耳であるが、トランペットとピアノはブルーノートでもお馴染みの最強コンビ。悪いはずがない。

ジョードゥ?(JORDU)

今回は国内盤なので、「お楽しみ」のライナーノーツも付いていた。

ライナー最上部にある「ジョードゥ」というのがこのアルバムの邦題だろうか?Discogを見ると本アルバムのタイトルはそのまんま『Barney』なのだが…

ライナー曰く、この「ジョードゥ」というのはA1のタイトル「JORDU」から拝借しているようだ。JORDUはデューク・ジョーダンのオリジナル曲で彼の名前の字をアナグラムして作ったタイトル、とのこと。うーむ、ますますわけわからん。カタカナで書くと「ジョン・ドゥ(英語でいう「名無しの権兵衛」)」のように見えてしまう。この邦題は正直要らなかったなと思う。

一応レコードのレーベル面も。

私が購入したのは1981年のリイシュー盤。元々はブルーノートリイシューのように帯が付いて販売されていたようだ。

やはり、いぶし銀な味わいのアルバム

さて肝心の音の方だが、国内盤でも全く不満を感じるところはない。オリジナルを聞いたことがないので比較しようがないが、「うわー、音悪いなー」という感じは全くない。レーベル面にMONOと表記があった通り、出力はモノラル。めんどくさいのでステレオカートリッジでそのまま視聴しているのだが力強くJBLを鳴らしてくれている。

元々AB面合わせて4曲しか入ってないので推しトラックも何も…という感じだが、強いてあげるならB2「Stablemates」(ステイブルメイツ)を。

ライブ録りなのだが、メンバーのソロ回しのたびに上がる歓声「Yeah!」、軽快なリズムに乗ってスウィングする特にデュークのピアノがたまらない。テナーとペットによるテーマ合奏で刻むドラムのリズミカルなこと。曲の冒頭から怒涛のテナー、トランペット、ピアノによるソロ回しが熱く熱く続く。

ジャケットはいぶし銀、いやどちらかというとおしゃれなフランス紳士然としているが、中身はどっこい濃厚なアメリカンジャズをかましてくれる。

睨んだ通り、名作であった。

ただ正直、オリジナルで聞かなくてもいいかな?とも思う。そこまで力を入れて激推しする作品ではない。個人的思い入れの違いだろう。

ご一読ありがとうございました。

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