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【レビュー】日本を代表するモニターヘッドフォン「MDR-CD900ST」を買ってみた結果

最近の収穫

先日、ジネット・ヌヴーの記事にて「ヘッドホンで聞いたら化けた」という話を書いたが、それ以来ヘッドフォンへの興味が湧いてきていた。

現在私はオーディオシステムで聴く用途のオーバーイヤー型ヘッドフォンを都合3本、所有している。

  • SHURE SRH440(密閉型)
  • Audio Technica ATH-AD700X (オープン型)
  • Philips Fidelio X2HR(オープン型)

これらに不満はなく、どれもそこそこいい音で音楽を楽しむ事ができるのだが、先日のヌヴー以来、改めて「モニターヘッドフォン」への興味関心が湧いていた。

結果的にはSONYの「MDR-CD900ST」を買ったのだが、これが現段階では大満足の結果となったのである。

今日はこの辺の経緯や、このソニー製モニターヘッドフォン「MDR-CD900ST」のメリット・デメリットなどをレビューしていきたいと思う。

モニターヘッドフォンとは?

そもそもヘッドフォンにはリスニング用ヘッドフォンとモニターヘッドフォンの2種類があるそうだ。


以下、島村楽器さんのサイトに両者の違いの説明があったので引用したい。

モニターヘッドホンとは楽曲製作時のモニター用途向けに製作されたヘッドホンです。
原音忠実再生高耐久高解像度といった特徴があります。対して音楽鑑賞に向けて製作されたヘッドホンをリスニングヘッドホンと言います。リスニングヘッドホンは音楽を楽しく聞けるように音に味付けがされています。一般的にはリスニングヘッドホンの方が多く使われていると思います。

すでにリスニングヘッドホンをお持ちの方はこう思われるかもしれませんが、おすすめはしません。
そもそも楽曲制作にモニターヘッドホンを使用する理由は「味付けの無い素の音」を聴くためです。リスニングヘッドホンは音に加工がされているので本来の音で作業ができません。例えば低音が強調されているヘッドホンで作業をした場合、そのヘッドホンでちょうど良い感じにミックスをして、後日他の環境で聞いた時に低音がスカスカになるというのはよくあることです。

こうした失敗を防ぐためにもヘッドホンはモニターヘッドホンを用意しましょう!

引用元:島村楽器HP

なるほど、簡単に言うと音楽制作者向けのフラットな(味付けのない)ヘッドフォン、ということらしい。

私が現在所有しているものはSHUREを除いて2つはリスニング用、SHUREはモニターヘッドフォンなのだが、厳密には「DJモニターヘッドフォン」という、いわゆるDJ用途でのヘッドフォンであるので、純粋なモニターヘッドフォンは持ってないということになる。

モニターヘッドフォンの特徴

一般のいわゆる「リスニング用ヘッドフォン」と比較してどういうところが違うか、ネットで色々調べてみた。

以下は要点である。

1.原音に忠実

さきほどの引用にもあったが、モニターヘッドフォンはいわゆる「味付け」が無い、と言われている。

これはリスニングヘッドフォンが例えば低音特化型、であったり、中音域を中心にまろやかに凸型の音作り、とかそういうメーカーサイドの意図した音作りをしているのに対して、なんの手も加えず録音したままの音を伝えることが特性、ということだ。

よって、歌手や音響監督、音楽の制作に携わる人々が「素の音」を聴くためのヘッドフォンとも言える。調べてみると別名「アラ探しヘッドフォン」とも呼ばれるらしい。確かに、ごまかしが効かないということはつまり、アラ探しにもなるわけである。

2.周波数がリスニング用に比べて広い

市販のヘッドホンは20~20,000Hz、に対して、今回購入したソニーMDR-CD900STは5~30000Hz対応、ということで低域および高域とも周波数がリスニング用にくらべて広い。

人間の耳がそんな低域や高域が聞き取れるのか?という疑問はあるが、「周波数がより広くなればなるほど、人の耳に聞こえる範囲の音場も広がって聞こえる」と個人的には思っている。

スピーカーに別途スーパーツィーターを増設した場合同様、より音の広がりを出せるということかと思う。

3.耐久性がリスニング用に比べて高い

これはプロの音楽制作現場等で使われるのでそのとおりであろう。

日曜大工よりもプロの工具、家庭の台所用品よりもプロ用の業務用品のほうが耐久性があるのと一緒だ。

4.コスパが良い

これは調べていて一番ビックリした点。

理由は、「リスニング用とちがって宣伝費をかけない」からだそうだ。

モニターヘッドフォンというのはそもそも「音楽制作のプロ」が使うものであるので、いわゆる「指名買い」、BtoB商品なので、タレント起用のギャラやTVCM放送費用、などの高価な宣伝費をかけていない。その分、そのパフォーマンスに対してコストは低めに抑えられているそうだ。

購入に至る経緯(自分への言い訳w)

さて、なんとなく「買っちゃおうかな?」という下地ができてきたので、ここからはお高い買い物をするときの恒例、「自己肯定=〜だから買った」という勝手な理由付けである。もし今後迷うようなことがあれば参考にしてもらいたい。

1.楽天ポイント改悪

23年11月、突然楽天ポイントの改悪通達があった。

〈改悪〉「5と0のつく日」は5%から4%還元に

SPUの特典ではありませんが、楽天市場でよく知られたキャンペーン「5と0のつく日はポイント5倍」も縮小の対象になります。楽天市場では毎月5と0のつく日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)に楽天カードで決済をすると(要エントリー)、5%還元になる特典がありますが、こちらも2023年12月5日から1%下がり4%還元となります。月間の獲得ポイント上限数も3,000Pから1,000Pにダウンとなります。

引用元:価格.comマガジン

普段からこの「5と0のつく日」のキャンペーンを使って日用品購入やふるさと納税をしている私からするとこれは大ショック…欲しいものは11月中に買っておかなければ、という気持ちが強くなった。

なお、お目当てとしていたソニーの「MDR-CD900ST」はいろいろ調べたがAmazonよりは楽天のほうが取り扱いが多く、ポイントという点でAmazonよりも楽天のほうがお得に見えたので、この「5と0のつく日」キャンペーンはマストで活用したいイベントだった。

2.単純に興味があった

これは前段ともかぶるが、ヌヴー以来、「お、ヘッドホンいいかも?」という気持ちが日増しに強くなってきていた。

というのも、私にとってはやはりヘッドフォンというのは「周りへの騒音配慮のために使うもの」という位置づけのアイテムだった。
スピーカーで聞くのが絶対至上主義であった私にとっては、ヘッドフォンを本気リスニング用途として考えたことが殆どなかったのである。

ところが先日のヌヴー事件、である。
スピーカーで聞くことが絶対の回答ではないこともある、薄々わかっていたが。

ならばヘッドフォン、ほしいぞという気持ちになるのは自然。

また、「どうせ買うならいままでとは違う種類のものを」となるのも、至極当然の流れだった。

3.スピーカーを買い替えるより手頃で簡単

2.に付随して、「ではスピーカーをJBL以外のモノに変える」ないし「スピーカーを増設する」という選択肢も軽く頭をよぎった。


いやいや、STILのヌヴーはうまく鳴らなかったが、今使っているJBLに不満は無い。むしろ大満足、一生モノだと思っている。
スピーカー増設は無理やりできなくもないが、場所とコストの問題で現状諦めざるを得ない。

するとやはり、ヘッドフォンを新たに買ってしまうほうが、スピーカーの変更・増設よりは明らかに簡単だしコストも掛からないという結論となった。

以上3つの非常に個人的な理由により、いそいそと私は「5と0のつく日」にモニターヘッドフォンを購入してしまったわけである。

購入〜開封の儀・ソニー「MDR-CD900ST」

1.購入:口コミの「プロ用」「日本の制作現場で〜」で即決

購入に当たっては他商品とも比較してから、と思い、口コミサイトをいくつか調べた。

なお、対抗馬として考えていたのは以下の商品である。

  • ◎本命:SONY 有線 密閉型スタジオモニターヘッドホン 黒 MDR-CD900ST(通称:赤帯
  • ◯対抗:オーディオテクニカ ATH-M50x プロフェッショナルモニターヘッドホン(オーテク
  • ▲単穴:SONY ステレオヘッドホン MDR-7506(通称:青帯
◎本命:SONY 有線 密閉型スタジオモニターヘッドホン 黒 MDR-CD900ST(赤帯)
◯対抗:オーディオテクニカ ATH-M50x プロフェッショナルモニターヘッドホン(オーテク)
▲単穴:SONY ステレオヘッドホン MDR-7506(通称:青帯)

口コミサイトはAmazon価格コム、イヤホン専門サイトの「eイヤホン」を中心に一部ブログなどのチェックも実施。

口コミを見ると、「日本の音楽制作現場のスタンダード」「さすが」の口コミが多い◎赤帯、「きれい」「クリア」「ワイヤレスベアリング」で◯オーテク、「海外での制作スタンダード」の▲青帯、という感じだった。

その中から、まずワイヤレスはいらないので◯オーテクは早々に脱落。◎赤帯と▲青帯は結構迷ったが…「ここは日本で、日本のスタンダードなら俺の頭にも合うだろう」という極めて短絡的な理由で◎赤帯に決定した。

先程述べたように、「5と0のつく日」のキャンペーンを狙って私は楽天市場の「コジマ楽天ショップ」で16,550円で購入した。なお、クーポンでここから200円引きもあったのでポイント還元と合わせてお得だったと思ってる。

2.開封の儀

ここからは現物が届いたときの写真を中心に展開したい。

まずは外箱。

むっちゃシンプルな段ボール箱…装飾は皆無。

箱上にはプロ用のため保証期間はなく、すべて実費修理という旨の記載がある。
外装にお金をかけず、余計な保証期間を設定しないことでコストを抑えているのだろう。

箱の中身も至ってシンプル。ビニールにくるまれた本体と仕様書のみが入っていた。

注意すべきはヘッドフォンジャック部分。

リスニング用の殆どがミニプラグがデフォルト、に対し、こちらはギターシールドと同じような大きなプラグ。
リスニング時にミニプラグが必要な場合は別途ステレオミニジャックアダプタを購入しなければならない。

ちなみに変換アダプタは調べたらこちらが評判良さそうだ

Victor ステレオ標準ジャック – ステレオミニプラグ [AP-233A]
隷好堂
隷好堂

音楽制作の現場の人たち=職人が使う、ってことで、プラグもギターシールドのようなごっつい仕上がり!

個人的にはものすごく惹かれましたw

実機試聴:結論は「買ってよかった!」

さて早速いつもの機材で試聴を試みた。

いくつかのソースで聴いた感想を述べたい。

今回試聴に使った音源。今回は再現性を考慮してアナログレコードではなくすべてCDとした。

1.Bye Bye Black Bird / Rickie Lee Jones

まずはリファレンス盤としても有名なリッキー・リー・ジョーンズのアルバム「POP POP」からこの曲を。

ウッドベースがズンズンとリズムを刻むのがまずは左耳に入ってくる。その土台の上にリッキーのちょっと鼻詰まりっぽい歌声とホーンがしっとり絡みつく。レンジはたしかに広い気がする。奥の方で密やかではあるがしっかりとリズムを刻むドラムのブラシスネアの音もバランスよく聞こえてきている。ヘッドホンで聞いているからか、ものすごく狭い場所で演奏しているのかな?という、演者の距離感の近さを感じる。

リスニング用と一番違うのは音との距離感。このソニーのヘッドフォンのほうが他のリスニングヘッドフォンより距離を近く感じる。

隷好堂
隷好堂

いやー、明らかにいままで持ってたリスニング用ヘッドフォンとは違う。

むっちゃクリア!それが新鮮に感じますわ。

2.コリオラン序曲 / コリン・デイヴィス指揮 バイエルン放送交響楽団

続いてはクラシックを。デイヴィス指揮、バイエルン響との「ベートーヴェン序曲集」より。
この盤もリファレンス盤として有名なやつだ。

弦楽器の高域と低域の分離具合がリスニング用よりもはっきりしている。ヴァイオリン、コントラバス、チェロなど、それぞれの楽器がリスニング用だとある程度渾然一体している感があったのだが、モニター用ではしっかり切り分けられて聞こえるように感じる。木管・金管の響きも広い。

これは音を上げればリスニング用でも聞こえるのかもしれないが、ホールの床と楽器がこすれる音、というか軋む音、ないし足音的なもの、息遣い(おそらく息を吸い込んでいる呼吸音)も楽曲の休符の直後に結構しっかり聞こえる。解像度が高い証拠であろう。

ただし、そこまで解像度の高い形で音楽を聴きたいか?これは好みによるところもあるな、と正直思った。

隷好堂
隷好堂

呼吸音、といえばやはりキース・ジャレット。

試しに「ケルン・コンサート」を聴いたら、あの独特の唸り声もバッチリ聞こえすぎましたw

3.Lotus Blossom / Kenny Dorham

最後にジャズを。ケニー・ドーハムの名盤「Quiet Kenny」からどアタマの一曲を。

こちらはセンターポジション若干左寄りにポール・チェンバースのベースがどっしり居座りながら、左にケニー、奥にピアノのトミー・フラナガン、アート・テイラーのドラムが右寄り、というセット。

…と簡単に書いたが、一聴してすぐ楽器のポジションがわかってしまう!これはモニターヘッドフォンならではなのだろう。リスニング用でももちろん分かるが、より明確、即座に位置関係が見えてしまう。

こちらは演奏の勢いがリスニング用よりもクリアに響いてくる印象だ。ドラムの金物の鳴りがとっても気持ちいい。途中からウォーキングしまくるチェンバースのベースを左に、右にテイラーの小気味よく刻まれるドラム、これをなんというか、どっちも同時に意識が追いかけていく。いや、ケニーのソロ追いかけるの忘れてたwってくらい分離がすごいなぁ、と。

隷好堂
隷好堂

楽器の位置関係がわかっちゃうからこそ、どこに集中して聞こうか決めないとあっという間に曲が終わっちゃうね。

流し聴きはなかなか難しいかも…

まとめ:モニターヘッドフォンのメリット・デメリット

実機試聴を他にもいくつか繰り返した上でのメリット・デメリットをまとめたい。

メリット:やっぱクリアな音がいいよね!

メリットはこんな感じ。

  • リスニング用よりも音がクリア
    これは圧倒的だった。曇りなきキラキラっぷりといってもいい。
  • 軽い
    意外だったのが重量。他のヘッドフォンよりも軽い。長時間つけていても重くなるようなことはないと思う。
  • 密閉感と外音遮断
    これもGoodだった。ノイズキャンセリングではないが、耳にピタッとくっついて外音は殆ど聞こえない

デメリット:耳が熱いとか、疲れるとか

続いてここはちょっとマイナスなポイント

  • 耳が熱くなる
    先程の密閉感の裏返しだが、特にメンズ諸氏で暑がりの方だと、長時間つけていると耳が熱くなる
  • 頭が大きい人だとヘッドセットが若干きついかも
    私も頭がでかい方なので帽子のサイズはLだが、そのくらいの人ならOK。でもそれ以上だとヘッドセットが小さく感じるかもしれない
  • リプラグできる仕様ではない
    プロ向けだからなのか、ヘッドフォンケーブルはリプラグできない仕様になっている。経年でケーブルが断線等したら修理に出す必要がある
  • 聴き疲れの可能性
    モニターヘッドフォンはクリアかつ鮮明に聞こえすぎるがゆえに、長時間の試聴は耳が疲れてくる可能性はある。私も流石に深夜3時間ほど聞き続けたら若干疲れた…

以上である。

個人的にはモニターヘッドフォンは初体験、ということもあって、聞こえてくる音がこれまでと違うことが新鮮で大変満足している。

みなさんにもぜひお試しいただきたいし、他のオススメもあればぜひ教えてもらいたい。
新しいスピーカーをウン十万かけるよりは遥かに手頃に自宅のオーディオをリフレッシュして楽しめるいい品物だと思った。

あ、もし購入をお考えであれば楽天で「5と0のつく日」のキャンペーンをおすすめします!!!

ご一読ありがとうございました。

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