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【優秀録音盤】今月の愛聴盤_23年11月

Disk Review

最近のお気に入り_23年11月

お気に入りシリーズの第2弾である。

11月も前半は暖かかったものの、後半にかけてはすっかり気温も下がり冬めいてきた。最近は「秋」ってのがほんとに短いなぁと感じる。

聴きたい音楽も夏の暑苦しさを吹き飛ばすものから変化して、なんというかこう、ぬくもりが感じられるようなものに変化してくる。趣味の領域なので、多分に気分に左右されるのだが、それが趣味ってもんだからいいかな?と思う。

ではさっそく。

テリエ・ゲウェルト / オスロ(TERJE GEWELT / OSLO)

※画像クリックでお使いのサブスクサービスへのリンクが開きます。

まずは北欧ジャズからこの一枚。

Terje Gewelt (テリエ・ゲウェルト:1960年6月8日 、オスロ生まれ) は、ノルウェーのジャズおよびフュージョンのベーシスト。

本作は私がX(旧Twitter)でフォローさせていただいている、「ジャズを聞き続けて半世紀」という岡島正夫氏のポストで知った。余談だが氏が毎朝夕にXでポストする「今日の音楽」レコメンドは大変素晴らしい。これまで知らなかった音楽との出会いに満ちているのでフォローをおすすめする。

この「オスロ」はピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィとの共演を実現したスタジオ録音作品。北欧ジャズは詳しくないのでアーティストのうんちくは他に任せるとして、何と言っても1曲めの「Blue Waltz」から胸がキュンと締め付けられる。まさにこのジャケット写真のような世界、ヨーロッパの夕暮れ時を想起させる。端正なピアノとしっとりしたベース、ドラムの組み合わせは北欧版「チャーリー・ヘイデン」のような印象。ヘルゲ・リエンもそうだが、こういう淡麗辛口かつどこか物悲しい寒さのような音がやはり北欧なんだろうなぁ、と思わずにはいられない。

録音も非常に優秀である。私ははじめサブスクサービスで聞いていたのだが、あまりの音の良さと演奏の素晴らしさにCDとLPを両方購入してしまった。

CDとLPの音質比較だが、正直大差ない。CDでも十分高音質を楽しめるのであえて高価なLPに手を出さなくてもいいかな?と思った。サブスクでもいいような気もするが、オーディオ機材でしっかり鳴らすならやはりCDが良いかと思う。なお私が購入した時点でCDは中古で480円、LPも中古で4850円、と価格差が約10倍…そこまで極まった差はないのでCD購入をおすすめします。

なお、CDとLPではジャケ写が違う。これはDIW(ディスクユニオンのレーベル)の遊び心かな?と思う。

こちらがLPのジャケ。若干だが夜景が明るい

なおLPは数曲の割愛が行われ、200グラムの重量盤仕様となっている。以下、LP化に際してのレーベルからのコメント。

今年、CDが日本で発売され結構な勢いで売れている。早くも「2009年のベスト盤に決まりだな」と推薦されるファン、関係者なども沢山いらっしゃるようだ。そんな状況を鑑みて、TERJE GEWELTにアナログ化の提案をしたところ、二つ返事で了解を得ました。このエンリコ~ゲヴェルト~シェルベリという異色のメンバーで録音された現代の傑作を是非アナログ・ファンの方にもお楽しみいただきたいと思います。 初回プレス限定盤。200グラム重量盤。

※LP収録に際して、曲順の変更(CD収録の9,10,11曲を割愛)をおこないました。

出典:ディスクユニオン

曲数も割愛されているので、やはりCDでの購入がオススメである。

ジョン・バティスト / ワールド・ミュージック・ラジオ(John Batiste / World Music Radio)

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続いてはこちらの作品。グラミー賞11部門ノミネート内5部門受賞。映画「ソウルフル・ワールド」の劇中歌とエンディングを担当し、アカデミー賞を受賞、等前作で輝かしい実績を残したジョン・バティステの『WE ARE』以来2年ぶりとなる新作。といっても発売は23年8月なのでもう随分経っているが。

前作の「We Are」でJAZZ括りで紹介されていたのでチェックしていたが、本作はもはやジャンルレス、強いて言うなら「ワールド」という括りがピッタリハマる。JAZZはもちろん、ヒップホップやカリブ、そしてもちろんポップの要素もあり、一枚でまさに「世界旅行」を楽しめる仕上がりになっていると思う。

来年(2024年)発表予定の「第66回グラミー賞」でも主要4部門中3部門、「年間最優秀レコード」「年間最優秀アルバム」「年間最優秀楽曲」にノミネートされている。(※ちなみに残り1部門は「最優秀新人賞」なので該当せず)

Worship : 年間最優秀レコード(Record Of The Year)ノミネート

■Butterfly : 年間最優秀楽曲(Song Of The Year)

特にButterflyはポップなバラードで親しみやすい。シングルとしても楽しめるのだが、個人的にはやはりアルバム1枚を通して聴いて、その世界観を堪能したほうがより楽しめると思う。

以前の記事でビリー・アイリッシュを紹介した際は「ミニマリズム」の魅力、とお伝えしたが、逆にこちらは「マキシマナイズされた魅力」とも言える。個性的なたくさんのアーティスト(J.I.D、New Jeans、カミーロ、リル・ウェイン、ラナ・デル・レイ、ケニーG、リタ・パイエスなど)を引っ張り出してごった煮にしている割には、アルバムのカラーはすべてバティスト色にまとめ上げられている快作である。

本人曰く、「このアルバムは、自分の人生における解放感と、自分という人間性、自分の技術、そして自分を取り巻く世界に対する、これまでに感じたことのない新たな探究心によって制作しました」とのこと。ジャンルに括られることのない多彩な才をまとめ上げるプロデューサーとしての才覚を十二分に見せつけられてノックアウトである。

なお私は本作についてはサブスクで楽しむべきもの、だと勝手に解釈している。音の世界観が「いつでも、どこへでも」と感じるし、ジャケット写真のジョンもヘッドフォンしているし。つまりは「開かれた外の世界で聴いてくれ」といわれているような気がしているのだ。家のオーディオルームで楽しむべきものではないと勝手に決めつけて物理メディアでの購入は見送っている。

キース・クロス&ピーター・ロス / Bored CiviliansKeith Cross & Peter Ross / Bored Civilians

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今月の最後はこれ。イギリスのプログレバンドの「T2」で活躍したギタリスト、Keith Crossが、シンガーソングライターのPeter Rossと組んだ唯一の作品。T2在籍時代のKeith Crossは、T2唯一のアルバム「It’ll All Work Out in Boomland」でかなりの轟音ギターをぶちかましていたが、そのイメージとは真逆の静謐なアンサンブルが聴けるアルバムである。

本作のオリジナル盤はレア度も相まって10万円オーバーはザラ、であったが、2020年のレコード・ストア・デイで見事再発された。私もその際になんとか入手できた次第。現在ではサブスクでも聴けるようになっており、ありがたい限りである。

プログレ出身者のフォークデュオということで音の方もいささか難しめかも?という先入観もあるかもしれないが、例えばこの冒頭の「The Ocean Rider」然り、アルバム全体通してシンプルなアコースティックアルバムに仕上がっていると言えよう。

どちらかというとフォーキーでSSWな感じの曲調が多いので、平日の昼下がりあたりにビールでも一杯ひっかけながら聴くとサイコー!なのんびりアルバムである。

まとめ

ということで、23年11月は公私とも忙しく、あまり多くのアルバムを聴き込むというよりも、仕事や移動をしながら聞き流すという事が多かった月だった。

来月は12月(既に12月、か)、師走かつ祝日などのお休みもないので相変わらず目まぐるしい付きとなりそうだが、いつも心に音楽を!の精神で乗り切りたいと思う。

ご一読、ありがとうございました。

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