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Led Zeppelin UK LP (Atlantic 588171 Turquoise) vs UK Original vs US Original_②【聴き比べ】

Disk Review

ZEPファーストの聴き比べ第2回である。

前回はUKターコイズの鮮烈な音を味わったので、次は国を変えてUSオリジナルを聞いてみたいと思う。

Led Zeppelin US LP Matrix A/A PR Press 通称「USオリ」

ジャケット

ほんと微差なのだが、UK盤よりもジャケットが大きい。いや、むしろUK盤が標準サイズよりも小さい、という言い方のほうが正しいのかもしれない。ジャケの厚みもUSのほうが分厚い。なお、僥倖なことにシュリンクも付属していた

レーベル面

レーベルカラーはレッド&グリーン。

ちなみにアトランティックのレーベル面配色の変遷は見ていてとても面白い。
興味ある方はこちらに詳しいのでぜひご参照いただきたい。余談だが、私が一番好きなアトランティックのレーベルは「ブルズアイ」。

なお私が所有している唯一の「オリジナル」ブルズアイレーベルのレコードはコルトレーンの名作「Giant Step」のセカンドプレスである。

マトリクス

マトリクスは、A面が[ST-A-681461 A]、B面が[ST-A-681462 A]。

デッドワックス部分には記載がないが、先程掲出したレーベル面の最下部に[ST-A-681461-PR]と記載があるので、このレコードはPR工場のプレスだと言うことがわかる。

なお、PR=Preswell(プレズウェル)の略である。

また余談だが、アトランティック社は広大なアメリカ市場にレコードを供給するにあたり、アメリカ国内各地に工場をもっていた。そのためレコードにはどの工場で生産されたものか?を識別するコードが記載されていた。この略称をまとめると次のようになる。

さてデッドワックス部分を見ると、「RG」という刻印が。

このRGは調べたところ、エンジニアのRob Grenell(ロブ・グルネル)氏を意味すすようだ。

氏は60年代にアトランティック社に在籍していたマスタリングエンジニアとのこと。氏の他の作品はこちらから確認できる。

サウンドチェック!

さて、ジャケと前置きが長くなってしまった。本題の聴き比べに移ろう。

まずはA1、UKターコイズとは違い、中音域に中心点を持っていった、比較的籠もったような音作りになっている。

オールドジャズのような音作り、といえば伝わりやすいかもしれない。もちろん曲はジャズではなくバリッバリのロック。UKターコイズが非常に鮮烈な高音域をバッキバキに奏でていたのに比べると、こちらは比較的落ち着いた音でトーンバランスが良い。

なお、先程こもりがち、と書いたが、これは決して否定的なニュアンスではないことを付け加えておきたい。中域メインで音を押し出してくる、ある種狙った音作りが一聴すると「こもっている」ような錯覚を起こす。聞き続けていると高音がキンキンもしないし、低音もやたらと主張してこない。ミッドレンジに大きな山を持っていって、そこからなだらかに高域・低域にバランス良く分布された音作りである。

果物のリンゴにたとえると(なんでだw?)、ターコイズがフレッシュ過ぎて酸味の強い(でも歯ごたえがとても良い)鮮度抜群のもの、USは糖度が高く味わい深い(でも歯ごたえはそこまでない)もの、そのような印象を私は持った。

さて続いてA2。

冒頭のアコギの音はターコイズよりもミッドレンジに音が寄っていて太い音がする。これはこれでアコギらしい音でいい。ギブソン的な響きがしっかりしている。使用ギターはギブソンJ-200なのでもう少し高音寄りかな、と思いきや、音色的にはワークホースことJ-45のような、芯の太い素晴らしい鳴りが。個人的にはアコギの音はターコイズよりこっちのほうが好きだ。

UKターコイズでは問題?と思われたA2の後半、全部の楽器が入ってクレッシェントする部分だが、このUSオリジナルは楽器ごとのメリハリがしっかりしていて素晴らしい。音が割れているように聞こえる、ということもない。こうやって聴き比べると、やはりターコイズはギターと、ドラムのクラッシュシンバルの音がやたらとデカイと改めて感じてしまう。

まとめ:バランスならUSオリジに軍配!

さて、それではターコイズと比較しつつ、USオリ盤マトA/Aについてまとめてみることにする。

USオリ盤は全体を通して聞くと非常にまとまりがよく、音作りにも一貫性があると感じた。ZEPに限らず、いわゆる一般的なロックのレコードのUS / UK盤の傾向では

「US=ドンシャリ系の荒っぽさがあって雑味があるがパワフル」、

「UK=丁寧で繊細な作りで中音域が濃厚だがパワーはやや不足」

という先入観が私にはあるのだが、このZEPのUSオリ盤に関してはUS盤にそういった粗野さは殆ど感じられず、むしろかなりUKの音作りに近いんじゃないかな?と思った次第だ。

なお、今回はマトA/Aについて聴き比べたのだが音の観点でいくとMAT C/Cのほうがよい、という意見もネット界隈ではチラチラ拝見する。もちろん、A/Aなのでこの盤がUSのファーストプレスなのは間違いないのだが、C/Cはエンジニアがあのジョージ・ピロス氏(レコード刻印はGP。USレコを買うとよく出会う[AT/GP]ことピロスさん)に変更になっているとのこと。そんなの、絶対聞いてみたいに決まってるじゃないか!沼深し、悩ましい限りである。私もまだこのC/C盤に出会えていない。その辺のことについてはこのShiotchさんのブログに詳しく書いてあるのでご興味ある方はぜひご一読をおすすめしたい。

ご一読ありがとうございました。

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