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キャロル・キング「つづれおり」USオリジナル盤(Carol King / Tapestry US ORIGINAL)

Disk Review

新年早々、見つけてしまった・・・「つづれおり」

23年10月に「【つづれおり】キャロル・キングの名盤ハーフスピードカッティング盤が思った以上に良かった件」というタイトルの記事を書いた。

その際に「USオリジナル盤はずーっと探し求めているのだが、セールでもスルスルと私の手元を抜け落ちてしまって・・・云々」的なことを書かせてもらった。

「つづれおり」は言わずと知れた超名盤であり、USがオリジナルでプレス数も多いので入手は比較的容易かな?と当初は思っていた。ところがどっこい、セールなどに出てくることも少なく、特に初期ジャケである「ザラ紙」ジャケだと本当に出くわす機会がなかった。おそらく5年くらいチェックしてたはずなのだが、私のチェックが甘いのか、本当に出品が少ないのか、手に入れられずにいたわけだ。つまり「つづれおり」は肌感では値段の割に出くわす可能性が低い盤、というのが自分の中での認識だった。

年が変わって24年1月2日、正月を既に持て余していた私は御多分に洩れずディスクユニオンへ。新春5%オフセールでもあったので、ちょっと目をつけていた盤を収穫しにいくかとお茶の水に向かった。(なおこの別のお目当て盤に関してはこの先記事にするつもりだ)

お目当ては無事確保、どうせ正月、やることもないし暇だから新着盤の餌箱でも漁ろうか。なーんて何気なくパラパラとレコを掘っていると、出てきちゃったのよ。こいつが。

ここ数年セールのリストでは見ていたが現物は拝んだことがなかった(つまり、他の好事家に先に買われていた)、ザラ紙の「つづれおり」が!平場の新着餌箱に放り込まれていたのだ。

いやいやびっくり、通り越して「なぜこんな平然と面出し(ジャケットを壁にかけて展示販売されていること)もされずに・・・」という驚き半分、喜び半分である。ま、幸先がいいことは間違いない。

しかし当然ながらこの出会いは予定外。明らかな本日の予算オーバー(当初目的のお目当て盤もそこそこのお値段)、先立つものはなかなか・・・いやぁ困った。

ところが人間というのは都合よくできているので、こういう時はとにかく「買うべき理由」を自分の中で算段する。レコード好きたるもの、「買わなきゃいけない理由」を平時よりいくつもストックしているものだ。今回は必殺「盤との出会いは一期一会」、これを理由にいそいそと盤質チェック→試聴→お買い上げ、と相なった。

スペック

まずはスペックから。この辺は名著「初盤道」に詳細な記載があったはずなので、私が購入したものをさらりと載せるに留める。

まずはジャケット。

段ボール箱の素材のような「ザラ紙」である。ザラ紙と普通の比較もしようかと思ったが割愛。なお、ゲートフォールドジャケット2つ折り部分が若干破損しており、程度としてはVG++。私は正直ジャケットにこだわりはないので仮にひどく破れてても盤のコンディションが良ければ全く気にしない。なおこだわりのように書いている「ザラ紙」、というのは、このアルバムの初期盤・初期仕様がザラ紙だから、それに拘っているだけである。

続いてレーベル面を。

白銀のODE70、クレジットありレーベル。レーベルもご覧の通り損傷があるが、これもあまり気にならない。

なお盤面はEX、多少の擦り傷はあるが音には出ないレベル。経年と言って良いかというレベルだ。

これでお値段24,800円であった。正直2万しないくらいかな?と予想していたのだが、結構お高い。近頃はプチプラな「古くて素敵なクラシック」を中心に漁っていたこともあり、この格差はなかなかの清水の舞台である。

もちろん清水舞台飛び降り(購入)にあたっては必殺の名言「悩む理由が値段なら買え。それ意外ならどんなにお得でも買うな」を心の中で併用したことはいうまでもない。

マトリクスは光の関係でどうにもうまく撮影できなかったでの記載のみ。

  • Matrix / Runout (Side A Runout Etched (Var. 4)): ODE 77017 – P6
  • Matrix / Runout (Side B Runout Etched (Var. 4)): ODE 77018-P8

Discogsによるとこのマトリクスは(Ver.4)とのこと。Verがいっぱいありすぎてよくわからないのだが、その辺は先ほどの「初盤道」をご参照いただけば良いかと思う。

サウンドチェック

さて、早速サウンドチェック。先般書いた「ハーフスピードマスタリング」と比較してどうなのか?

結論はUSオリジナル盤の圧勝!であった。

針を落としてA1ド頭のピアノのイントロから音がとても太い!!!この圧倒的な音圧、これがハーフスピードマスタリングを凌駕してしまっている。

名盤を今の時代にあえてレコードで聴く理由でもある、「魅力的な中音域」そして「音圧」これがもう、圧勝レベルなのである。

もちろん繊細なA2などは逆に音圧が邪魔するのではないか?とも思ったが、いやいや丸めのマイルドな仕上がり。声と楽器の分離もよく団子な音にはなっていない。むしろ主張が強いくらい。

先日紹介したハーフスピードカッティング盤でも十分に良音だと感じていたのだが、今こうやってオリジナル盤と比較してみると、やはり若干高音域にイコライズされ、各楽器のバランスが「程よい」整え方をされている感を受ける。つまり丁寧すぎる気もする。

加えてハーフスピード盤は音圧面もオリジナルの芯の太さにはちょっと物足りない。制作販売された1971年という時代を考えるに、声を中心に各楽器が時に力強く、時に繊細に主張し、それをまとめ上げるという、やはりオリジナルのミックスはかくあるべしという主張を感じる音なのだ(プラシーボも多分に入ってますw)。

さすが大名盤、まいったまいった、まいっちんぐマチコ先生だ。これは愛聴棚永久保存決定だ。

買ってよかった!

「親孝行は親が生きているうちに早くしろ」とよくいうが、同じように「どうしても欲しいオリジナル盤は生きているうちに早く買え」も真理である。

買った直後は当然「ああ、今月のカード支払い厳しいわぁ」なんてちょっと嘆く。しかし自宅に持ち帰って愛用の機材・スピーカーで鳴らした時に最高の音を奏でてくれたその瞬間に、金なんてちっぽけな心配はどこかに吹き飛んでしまう。大好きな曲を最高の音で聴ける、その音源を所有している、この喜びは何者にも代え難い。それがレコード好きってもんだ。

後悔先に立たず、昨日買わずに今日嘆かなくてよかった、この精神だ。今年のこの調子で行っちゃおうかなw

ご一読ありがとうございました。

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