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【ピンク・フロイド】「炎」イスラエル盤をUKオリ盤と聴き比べしてみる【PINK FLOYD / WISH YOU WERE HERE】

Disk Review

こんにちわ、隷好堂です。

さて今回は聴き比べシリーズ

ピンク・フロイドの名盤「炎〜あなたがここにいてほしい」(WISH YOU WERE HERE)のイスラエル盤とUKオリジナル盤を比較してみたいと思う。

レコードは「聴き比べ」が面白い!

レコード視聴の楽しみは音の厚み、アナログならではの温かみ、大きなジャケットを所有する喜び等々いろいろあるが、その中でも生産国が違う同タイトルのアルバムを連続視聴して音の違いを比較する、いわゆる「聴き比べ」というのが私は面白いと思っている。

同じ音源から作られたアルバムでもレコードだと様々な違いが楽しめる。モノラルとステレオでの違い、オリジナル盤とリマスター盤の違い、そして今回ご紹介する「生産国での違い」

一つとして同じものはたぶんない、これはレコード鑑賞の醍醐味であると思っている。要は名著「アナログミステリーツアー」をビートルズ以外でもやってみようという魂胆である。

聴き比べの金字塔にしてアナログレコードの楽しさを何倍にもしてくれる
名著「アナログミステリーツアー」

ピンク・フロイドの大名盤「炎〜あなたがここにいてほしい」

さて、今回はPINK FLOYDの「WISH YOU WERE HERE」(日本盤タイトルは「炎〜あなたがここにいてほしい」、なんで炎?あ、ジャケ絵かwww)を取り上げたいと思う。

え?なぜかって?

手元にあるからだw

理由なんてそんなもんだw

手元にUKオリジナル盤と、イスラエル盤があったので、それぞれ聴き比べてレポートしたい。

UKオリジナルに関しては、私の手元にあるのはUKオリジナルMAT_1/3の盤。おそらく市販盤ではもっとも若い初版マトのものである。このUKオリジナルとイスラエル・インド盤をそれぞれ比較してどんな違いがあるのか?探ってみたいと思う。

所有のUKオリジナル盤 MAT1/3
シュリンク破れが怖いので厳重保管
隷好堂
隷好堂

実は本作にはUK_MAT_1/1なんてのも存在しており、現物はこの目と耳で確認したことがある。好事家の方に聞かせてもらったのだが、ぶっ飛ぶ!音、でした。

とはいえこれは特殊ルートなので、通説に従いファーストプレスはMAT_1/3と定義しております。

イスラエル盤「炎」

それでは早速、イスラエル盤から。こちらは3年ほど前、4,000円くらいでレコ屋で入手。

Pink Floyd / Wish You Were Here Israel CBS80955

UKオリジナルだと黒いシュリンク(レコードジャケットをカバー・封印しているビニール)がついているが、こちらは全くなし。購入時にすで破られていたのかもしれないが、おそらく元々黒シュリンクはついていなかったのではないかな?、と推測している。

ジャケの表紙には、UKオリ盤だとシュリンクにステッカー貼りされている右上の丸いタイトル・ロゴが予め印刷されている。

裏ジャケはこちら。

続いてレーベル面。

マトリクスはA面が[AL 33453-1A 2A Q]、B面が[P BL 33454-5E]

ちなみに、左上のソニーの規格番号(CBS80955)以外にジャケットから生産国を割り出せそうな手がかりはなし。

素直にネットで「CBS80955」を検索するとUS盤のページにあたる。私は購入時にお店のタグに「イスラエル盤」と記載されていたからイスラエル盤だと認識して買ったが、ジャケでの判断は結構難しいな、、、と思う。

そこで上記のマトリクス番号を手がかりに何かわからないか、、と調べてみたら、海外の方がこんなサイトを作ってくれていた。

さすがフロイド、コレクターの方はいらっしゃるもので。

さてこのサイトによると、A面のマトは私所有とドンピシャ。B面は末尾の5Eがサイトでは4Cと表記されている。マトリクスは違いますが、レーベル面の色や記載内容より私の所有はイスラエル初版と判断した。マトリクスはUS盤のと同じ、ということから、US盤のスタンパーを用いてプレスされたものと判断できる。現地カット盤だったら面白かったのだが、残念。

なお、先程のサイトを見ていくと、イスラエル盤は1st〜4thプレス(+quadraphonic)まであるようだ。

聴き比べ!ウェットで分厚いUK、ドライなイスラエル

さて肝心の音の比較をしてみたい。今回はA面で比較。

まずはUKオリジナル。音圧が凄まじいの一言。

音が聞いてる側に押し寄せてくるような、こう、迫りくる音の壁ないし空気感。
ピンク・フロイドの代名詞とも言える強烈なギターの音が波のように鋭く押し寄せては返し、その残響の奥行き、浮遊感はゆらゆらといつまでも浸っていたい波間にいるような気持ちになる。

空間をザクザクと切り裂くギター音の前後でどっしりと響くドラムス。目立って前には出てこないが要所要所でまるで足ツボマッサージのようにズンズンと押し込んでくるベース。ボーカルが入るとまるでそれを中心に空間が回りだすかのような錯覚を覚える。。ほんとに分厚い音、「ウォール」ですな。(あ、アルバム違い笑)

曲が進むにつれ、分離の良いアコギの音、右へ左へパンするキーボードが聞いてるものに空間が回転しているかのような錯覚を与え、ベースとドラム、そして歌声が空間の中心点をしっかり支えている。まるで回転する境目のない球体の中に自分が浮かんでいるような気になってくる。

いやーさすがUKオリ。すごいわ、こりゃ。

対してイスラエル盤。

USマト仕様ということで大味なのかな?と思ったがそうでもない。UK盤が艶っぽいウェットな音とすると、US盤は比較的ドライに感じる。

全体に漂う透明感。これが本当に70年代に作られたアルバムなのか?と思わせるハイファイ感はUK盤にある程度は共通だが、音場が狭い、奥行きが足りない感じがする。
その分、楽器それぞれの音が分離よく聞こえる。それでいてそれぞれがしっかり存在感を主張しているのはある程度UK盤と共通する。が分厚さは正直物足りない。フロイドの音楽の魅力でもある「浮遊感」も若干足りない気がする。

やはり、オリジナル盤と比較すると全体的にちょっと「もの足りない」かな。

やはりUKオリジナル盤に軍配!

「ため息が出るほど美しい音」というのであればやはりUKに軍配を上げざるを得ないな、というのが正直なところ。まぁ、オリジナル盤ですから。そりゃそうだろう、と。

私は何でもかんでもオリジナル盤信仰者、いわゆる「オリジナル盤原理主義者」ではないつもりだが、いいものが多いのもオリジナル盤。

ましてやこの大名作、音響派プログレの雄、ピンク・フロイドのオリジナル盤、圧勝級。

ただ、イスラエル盤もそれなりにクオリティは高いな、と思った。聴き比べ、しかもオリジナル盤との対決であればやはり分が悪いが、聴き比べずに単体で楽しむのであればとてもきれいな音を聞かせてくれる。決してダメな盤、ではなくて、至極及第点といってよい。

隷好堂
隷好堂

特に古いレコードで日本製造の海外アーティスト物のレコードは「あー、こりゃ音が酷いな」と思うものも多いが、このイスラエル盤はそれに比較するまでもなくクオリティ高い。

イスラエル盤だけに「イスラエル的な何か?」が感じられるのか?

最後に、イスラエル盤だけに、「イスラエル的ななにかを感じるか?」と言われると、、、

正直感じなかった。。。残念ながらw

中東だし、なにかこう芳しいお香の香りのようなものだとか、インドのような弦楽至上主義だとか、そういった特色を強く感じるか?と言われると、感じないってのが正直なところだ。

すいません、イスラエルに行ったことはないので「お前にイスラエルらしいなにかがわかるのか?」と言われると、それもつらいんだが。

こういうのはもうブルース・リー的「Don’t Think, FEEL!」な世界、イメージの世界。私のイマジネーション・イスラエルは正直感じなかったと付け加えておく。

隷好堂
隷好堂

各国盤に期待しがちな摩訶不思議な感じは、正直しなかったよ。

ま、こういうこともあるから楽しいんだけどね笑

ご一読ありがとうございました。

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