Ray Ellington Quartetの『That’s Nice!』:ジャズの楽しさを伝える名盤

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残念ながら今日はレコードではなくCDの紹介である。「残念ながら」というのは、実は本作、私はレコードでの入手を熱望しているいわゆる「TOP WANT」の1枚なのだが、未だにお目にかかれたことがないのだ。とはいえ作品は素晴らしいので、先に紹介だけでもしてしまいたい、と思った次第。

そのアルバムとは、Ray Ellington Quartetの「That’s Nice」である。

Ray Ellington Quartetのアルバム『That’s Nice!』は、1959年にリリースされたジャズ作品である。軽快で楽しいサウンドは、ジャズの魅力を存分に伝え、初心者からコアなファンまで幅広いリスナーに愛される作品だ。筆者はこのアルバムをCDで所有しているが、サブスクリプションサービスでも手軽に楽しめる点が魅力である。

本記事では、Ray Ellingtonのバイオグラフィー、アルバムのギタリスト、おすすめ曲、サブスクでの利用可能性、そしてどんな読者におすすめかを詳細に紹介する。ジャズの明るい世界に触れたいなら、このアルバムは必聴である。

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Ray Ellingtonと『That’s Nice!』の魅力

百聞は一見にしかず、まずはこの音源を聞いてみてほしい。

心ワクワクするようなスウィンギンジャズ!どこかこうルイ・ジョーダンにも通ずるジャンプな雰囲気。こういうの好きな人にはたまらないのでは?

Ray Ellingtonとは何者か

まずもってこのRay Ellingtonなる人物がよくわからない。ということで色々と調べてみた。

Ray Ellington – Wikipedia

Ray Ellington(本名:Henry Pitts Brown)は、1916年3月17日、ロンドンのケニントンで生まれた。1985年2月27日に亡くなるまで、イギリスの音楽シーンで歌手、ドラマー、バンドリーダーとして活躍した。特に、1951年から1960年まで放送されたラジオコメディ番組「The Goon Show」での出演で広く知られている(Ray Ellington – Wikipedia)。この番組では、彼の率いるRay Ellington Quartetが音楽を担当し、彼自身もコミカルな役柄で登場した。

Ellingtonの家族背景は多様である。父親はアフリカ系アメリカ人のミュージックホール・コメディアン、母親はロシア系ユダヤ人だった。4歳で父親を亡くし、ユダヤ教徒の家庭で厳格に育てられた。12歳で舞台に立ち始め、1937年にはHarry Roy and His Orchestraのドラマーとしてプロデビューを果たした。第二次世界大戦中はイギリス空軍(RAF)で体力訓練教官を務め、戦後は自身のバンドを率いて活動を再開した(Ray Ellington – Wikipedia)。

1947年にRay Ellington Quartetを結成し、ジャズを中心にポップやロックンロールにも挑戦した。彼の音楽スタイルは、ルイ・ジョーダンのコミカルなジャンプ・ブルースに強く影響を受けている。ギター、ベース、ドラム、ピアノのシンプルな編成で演奏し、英国でいち早くエレキギターを前面に押し出したバンドの一つとして知られる。この革新的なアプローチは、後のロックンロールの基礎を築いたとも評価されている(Ray Ellington – Wikipedia)。

やっている音楽からアメリカのニューオリンズあたりかと思っていたが、なんとイギリスだった。これは驚き。

『That’s Nice!』の概要とギタリスト

『That’s Nice!』は1959年にリリースされたアルバムで、CDでは20曲の軽快なジャズナンバーが収録されている(The Ray Ellington Quartet – That’s Nice! (1959, Vinyl) – Discogs)。ジャズのスタンダード曲を中心に、ミュージカル調のアレンジが施されており、聴きやすさが特徴だ。Ray Ellingtonのしゃがれ声のヴォーカルと、バンドの軽やかな演奏が絶妙にマッチし、50年代の陽気なジャズの雰囲気を存分に味わえる。

このアルバムで特に注目すべきは、ギタリストのJudd Proctorの演奏である。

Discogより引用

Proctorは英国で早くからエレキギターを取り入れたミュージシャンとして知られ、Ray Ellington Quartetのサウンドに鮮やかな彩りを加えている(The Ray Ellington Quartet – That’s Nice! (1959, Vinyl) – Discogs)。彼のギターは、アルバム全体を通じて印象的で、特にソロパートではテクニカルかつメロディアスなフレーズが光る。バンドの他のメンバーは、Ray Ellington(ドラム&ヴォーカル)、Dick Katz(ピアノ)、そしてPeter McGurk(ベース)というクレジットだ。

Proctorのギターは、例えば「The Three Bears」や「The Teddy Bear’s Picnic」などの曲で特に際立っている。彼の演奏は、アルバムの楽しげな雰囲気をさらに引き立て、リスナーに心地よい高揚感を与える。筆者がこのアルバムを聴いた際、ギターの音色とリズムの絡みが特に印象的で、ジャズの枠を超えた普遍的な魅力があると感じた。

おすすめ曲「The Teddy Bear’s Picnic」

アルバムの中から一曲を選ぶなら、「The Teddy Bear’s Picnic」を推薦する。この曲は、テディベアたちがピクニックに出かける様子を描いたユーモラスなナンバーで、1907年に作曲されたクラシックをジャズアレンジしたものだ(The Ray Ellington Quartet / That’s Nice! – La La Singin’ Music♪)。Ellingtonのヴォーカルは遊び心に満ち、Judd Proctorのギターソロが曲に華を添える。軽快なリズムとキャッチーなメロディーは、聴く者を自然と笑顔にする。

筆者がこの曲を初めて聴いたとき、テディベアの物語を想像しながら、ギターのメロディーに引き込まれた。特に、ソロパートでのProctorの流れるようなフレーズは、ジャズの自由さと楽しさを象徴している。この曲はアルバムの雰囲気を代する一曲であり、ジャズ初心者にも親しみやすい。

聞くならサブスクリプションが最適解か?

本作、私は20年以上前にタワーレコードで手に入れたのを覚えている。その時のお値段なんと680円。しかも新品でだ。タワーのジャズコーナーで激推しされていて、輸入盤が山積みされており、POPには「こんな愉しいジャズがあったなんて!」みたいな紹介文がついていたと記憶している。試聴機にセットされていたのですぐに聞いてみて値段も安かったこともあり即購入した。

『That’s Nice!』はいまも中古屋などでCDでは手に入るし、値段も300円くらいのようだ。ただ、わざわざ探すのであれば手っ取り早くサブスクで聞いてしまってもいいかもしれない。調査の結果、Apple Musicでストリーミングが可能であることが確認できた(The Ray Ellington Quartet on Apple Music)。Spotifyでも利用できる可能性が高いが、具体的な確認はできなかった。サブスクサービスを利用すれば、いつでもどこでもこのアルバムの明るいサウンドを堪能できる。

もちろんCDでも入手可能だ。基本は中古での入手になるがAmazonでもCDが比較的安価に販売されている。筆者自身、CDでこのアルバムを所有しているが、音質はクリアで、ジャズの生々しい演奏を十分に楽しめる。

一方でアナログ盤に関してはなかなかオークションなどにも出てこない。再発の話も聞いたことがない。この音源、間違いなくアナログ盤で聞いたらサイコーなのにな・・・と思っているが、未だにお目にかかれずにいる。

どんな読者にオススメか

このアルバムは、以下のような読者に特におすすめである。

  • ジャズファン:1950年代のスウィングやジャズが好きな人には、Ellingtonの軽快なサウンドが響く。
  • 明るい音楽を求める人:陽気で楽しい雰囲気の音楽を日常に取り入れたい人に最適。
  • ジャズ初心者:ジャズに詳しくなくても、親しみやすいメロディーとリズムで楽しめる。

特に、ジャズ初心者にとってこのアルバムは入門編として理想的である。複雑なインプロビゼーションよりも、キャッチーなアレンジと楽しい雰囲気が前面に出ており、ジャズの世界に気軽に足を踏み入れられる。また、手頃な価格で入手できる点は大きな魅力だ。

ジャズの楽しさを再発見する一枚

『That’s Nice!』を聴くたびに、ジャズの持つ自由さと楽しさが心に響く。Ray Ellingtonのユニークなヴォーカルと、Judd Proctorの鮮やかなギターが織りなすサウンドは、時代を超えてリスナーを魅了する。筆者がCDでこのアルバムを繰り返し聴く中で感じたのは、音楽が持つ純粋な喜びである。レコードで聴けば、さらにアナタの部屋がジャズクラブのような雰囲気に変わるかもしれない。

サブスクで手軽に聴ける現代において、『That’s Nice!』は古き良きジャズの魅力を再発見する機会を提供する。ジャズの歴史に興味がある人、日常に明るい音楽を求めている人、そしてRay Ellingtonのユニークな世界に触れたい人に、ぜひこのアルバムを手に取ってほしい。『That’s Nice!』は、いわゆるイメージの中の「古き良きアメリカ、ビッグバンドジャズ」みたいな、思い描いたような映像の中で流れる音楽そのままだ。ジャズの楽しさを教えてくれる、時代を超えた名盤である。

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