はじめに ― なぜこのレンズを選んだのか
以前ニコンZfといっしょにいった香港旅、という記事を投稿したのだが、あのときはキッドレンズの40mm単焦点レンズ一本での撮影であった。単焦点だけの旅、も潔くて愉しいのだが、やはり多くの名所を巡るような旅行時はズームレンズが欲しくなる。できればコスパがいいクラシックなデザインに合う万能レンズはないものかとここ3ヶ月位探していた。そこで出会ったのが「AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR」だ。オールインワンでフルサイズ対応、しかも中古なら程度にもよるが3万円台〜で手に入るという驚きのコスパ。
旅行先で荷物を減らしたい、レンズ交換を気にせずスナップを楽しみたいというアマチュアカメラマンにとって、このレンズはまさに理想的な選択肢だと感じている。
レンズ概要 ― スペックと特徴をチェック
このレンズは2010年に発売されたFXフォーマット(フルサイズ)対応の高倍率ズーム。D一桁機だけでなく、Zfのような最新ミラーレスともFTZアダプター経由で使用できる。
項目 | 内容 |
---|---|
焦点距離 | 28-300mm |
開放F値 | f/3.5-5.6 |
最短撮影距離 | 約0.5m |
フィルター径 | 77mm |
重量 | 約800g |
手ブレ補正 | VR(約4段分)搭載 |
対応マウント | Fマウント |
この1本で広角から望遠までカバーできるため、旅先やイベントなど、レンズ交換がしづらいシーンでも重宝する。Zシリーズのネイティブレンズで28-300mm相当のモデルは存在せず、現行ではZ 24-200mmが近い存在だが価格は倍以上。このレンズが中古市場で注目されている理由もそこにある。
では装着したときの大きさを見てみよう。


ZfにレンズコンバーターのFTZ2を挟んで装着すると上記のようなサイズ感。正直コンパクトではない。重さ的には1.6キロほどとなる。片手で持てなくもないが、やはりネックストラップなどを使って支える必要はある。


望遠を300ミリまで最大限に伸ばしてレンズフードも装着した図。ボディから全長おおよそ34センチ。ストラップを使って脇に吊るしていると、レンズは重みでどんどん伸びてくる。

そういった重力に引っ張られて不意のレンズ操作がなされないよう、ロック機構もレンズに搭載。加えてフォーカスモード、手ぶれ補正機能のオンオフ、および手ブレの強度選択ボタンもレンズには搭載している。
使用環境 ― Zf+FTZでの相性は?
私はこのレンズをニコンZfにFTZマウントアダプターを装着して使っている。まず驚いたのが、クラシックなZfの外観にレトロなレンズデザインが想像以上にしっくりくること。まるでオールドニッコールを付けているような佇まいだ。
操作感も良好で、Zfの手ブレ補正(IBIS)とVRレンズの組み合わせにより、望遠側でも手持ち撮影が安定する。AFも問題なく動作し、特に動物園などで動く被写体を撮る際に重宝した。
注意点としては、アダプターを介すぶん、全長と重量はそれなりに増す。ただしZfは比較的軽量なボディなので、バランスは意外と悪くない。
良い点 ― 1ヶ月使って実感した魅力
1. 中古価格がとにかく安い!
Zシリーズのネイティブレンズと比較すると、中古市場での価格差は歴然。私は状態Aの品を約55,000円で入手。スペックが違うので単純比較はできないがフルサイズ対応のレンズである現行のZマウントレンズの 28-400mm f/4-8 VRは20万円前後するので、実に1/4の価格だ。
しかも、描写は十分シャープで、VRもしっかり効く。コストパフォーマンスの高さでは間違いなく「ニコン レンズ おすすめ」と言える。
2. フルサイズ対応で長く使える
このレンズはFXフォーマット対応なので、Zf以外のフルサイズボディ(Z6やZ8など)でもしっかり性能を発揮できる。Zf+FTZで使うことで、現代機の性能とFマウントレンズの味を両立できるのが面白い。
3. 旅行や日常撮影で本当に便利!
1本で広角28mmから望遠300mmまでをカバーできるのは本当に便利。旅先でレンズを取り替える手間もないし、咄嗟のスナップにも強い。
例えば先日、動物園に家族と出かけた際には、猿やキリンの顔をアップで撮ったり、全景を広角で収めたりと大活躍。1本で全部撮れたことに感動した。


気になる点 ― 正直なデメリットも
1. FTZアダプターが必須
Zシリーズで使うにはFTZまたはFTZ IIアダプターが必要。これがおおよそ3万円するため、初期投資がややかさむ。
ただ、今後もFマウントのオールドレンズを追加購入していくことを考えると、これはもう買ってしまったほうがいいと思う。現行のZマウントレンズの性能は疑いようがないが、旧仕様のFマウントレンズにも銘玉と呼ばれる物が多い。そして何よりZマウントレンズよりも安価で入手できる。フルサイズ対応のレンズも豊富なのでこのアダプターは買っておいたほうが良いと個人的には思う。
装着の手間や見た目のバランスも人によって好みが分かれるだろう。重さは約100グラム、今日紹介した望遠レンズを装着すると100グラムとはいえ重量負担はちょっとでも減らしたいところだが致し方ない。
なお見た目だが、Zfのデザインとの相性は良く、私はむしろクラシック感が増して気に入っている。
2. ちょっと重め
重量は約800g。FTZを加えると1kg近くになるので、長時間持ち歩くとずっしり感じることも。
とはいえ、300mmまである望遠ズームとしては標準的な重さ。むしろこれでこの価格と画質なら、十分に許容できると感じている。
作例紹介 ― 実際に撮ってみた!
① 動物園:ズームで迫力ある表情をキャッチ!

設定:300mm / f6.3 / 1/320s / ISO 1000
フラミンゴの表情をバッチリ捉えた。フェンス越しでも背景が綺麗にボケ、立体感のある仕上がりに。「このレンズなら遠くの動物も逃さない」と実感した瞬間。
② お祭り:広角で賑やかさを再現!

設定:28mm / f9 / 1/1600s / ISO 1800
東京あるある、繁華街を練り歩く神輿。ゴチャついた狭い路地をいく神輿と担ぎ手を広角で一枚に収められた。高倍率ズームながら、狭いところでも奥行きのある写真が取れるのは良い点。

③ 道端の花:日常スナップにも強い!

設定:98mm / f8 / 1/60s / ISO 100
道端に咲くバラをスナップ。最短撮影距離が0.5mなので、マクロ風の撮影もできてしまう。あいにくのお天気、雨上がりの曇り空であったがf8でこの背景のとろけるようなボケも◎。
まとめ ― このレンズをおすすめする理由
「AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR」は、コスパに優れ、1本でなんでも撮れる万能レンズだ。特にZfとの相性も良く、撮る楽しさを引き出してくれる。
- 中古価格は3万円台とお手頃
- フルサイズ対応で画質も満足
- 旅行や日常にぴったりのズーム域
- Zシリーズで活用できる高倍率ズームの選択肢として貴重
FTZアダプターの必要性や重さには少し注意が必要だが、それを補って余りある魅力がある。
中古での購入を検討中の方へ
「中古レンズ ニコン」「ニコンZf レンズ」で検索する方にとって、このレンズは非常に有力な選択肢だ。ぜひ中古カメラ店やオンラインショップで状態の良い個体を探してみてほしい。
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